最期のダンス/因子
 
君は僕の手首の傷のこともちっぽけな心のこともぐちょぐちょの中身のことも知っているんだ。だから僕は君を信じられない。大丈夫だよと慰める声が嘲りに聞こえる。優しげに微笑む顔がどろりと崩れて醜い満面の笑顔に変わる。“大笑いだわ!”僕は君を好きな筈なんだ。なのに。どうしたら君のことを信じられるだろう?どうしたら君が僕にくれるものが本物で大切なものだと、勘違いでも愚かに盲信できるだろう?

僕の本当を知らない人の笑顔はちゃんとわかるのに僕の本当を知る君の笑顔が怖いんだ。ねえ君本当はこんな僕を嘲笑っているんだろう?
こんなだから僕はいつまでもひとりだ。





僕の躯の中身は空洞なんだと子
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