カウンセリングの先生は/REMINGSセシル
 
気前のよい兄貴のようで
ぼくはまた
例によって
半日を先生と過ごす


おやつを食べながら
いろんな話をして
アニメのビデオを観る

ぼくが気をよくして
喋りすぎると
先生のノートには
簡単にこう書かれる
「比較的状態がよい」

ぼくは甘えて
時々わざと無口になったりした
わざとおやつを食べなかった

それでも先生は落ち着いていて
ぼくはどうしても帰りたくなかった

陽のあたるあたたかい
リビングのソファの上で
観たアニメのビデオや
庭でみた
草や花の匂いなんかは
本当に良かった


それに比べてここは
少し寂しい
陽が当たらないし
窓が開かない
朝か夜かもわからないし
電球だけがまぶしい

眠るときは豆電球に
するのだけれど、
どうしても
寝付けないので
ぼくは
あの草や花の匂いや
先生と遊んだ
日のことを
一日のはじめから思い出して
眠る

今日は
公園の緑の葉っぱに
蝉のさなぎから成虫になるのを
見つけた
雨降りの朝の
こと
思い出してた
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