愛する者と愛される者/六九郎
 

俺にとっての永遠の謎のもう一つ
あいつらったらほんと
義理も恩も屁とも思わねえ
そこがいいとか何とか言う馬鹿もいるし



腹が鳴る
もう何日喰ってないだろう
声も屁もでねえ
そろそろ潮時か
思えば色々あったけど
今となってはもういいことしか思い出せない
結局一度もあんたの手を噛むことなかったね
猫共はご主人様とエサの区別もつかねえ馬鹿だけど
もちろん俺達はそんなことしない
よたよたと部屋を出る前に
俺は一度だけ振り返り
もう動かなくなったご主人様に最後の別れを告げる
さようなら
今までありがとう

今日から俺は
野良のミニチュアダックスフントです
名前はもうない






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