愛する者と愛される者/六九郎
 

それにしても狼
曠野を駆ける全能の捕食者
我々の祖先たる狼
その誇り高き彼らが
牙も毛皮も持たない猿のなり損ない共と
なに故友好関係を築いたのか
俺にとっての永遠の謎の一つ
信じた最良の友の手で
種を絶たれることになるとも知らずに
我が子同様に人間の赤ん坊を育てた狼もいたと言うのに
祖先の純真さととまどいを考えたとき
彼らが注いだ愛と受けた仕打ちを考えたとき
俺は涙を禁じ得ない




それにしても猫
喰うことと寝ること以外になにもしねえ
糞の役にも立たない奴等
尻尾を振ることも知らねえ屑が
猿のなり損ない共に
なに故あそこまで愛され続けるのか
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