逝/城之崎二手次郎
 
 夫と出かけると、いつもこうだ。レストランでバカ笑いをし、電車で大きなゲップをする。昔からまったく変わらない。本人が気にしていない分、横にいる私が余計にはずかしさを感じなければならない。だから復讐してやるのだ。それは私の臨終の時だ。ベッドの脇には夫や子供、知り合いが集まっている。そこで夫を呼ぶ。夫が一歩前に出た瞬間、大きなおならをしてやる。驚く夫の顔を見て、笑って逝くのが楽しみだ。

あとがき。
二〇〇字物語第三十五弾。
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