オーバーイージー/木屋 亞万
今日は海へ行こう
彼女は紅茶を3つ
マグカップに入れて
残りを空色の水筒に注ぐ
今日は曇りらしいな
朝は晴れていたのにね
たいようはさっきやいて3人で食べちゃったもん
チビを肩車して
彼女の手をしっかり握り
僕からドアを開く
それは終わりのドア
開く瞼は午後の2時
夢から覚めた昼下がり
カーテンを開けると
外には買い物帰りらしき
女性が一人バッグから
フランスパンを出して
川沿いを歩くのが見える
フライパンの蓋みたいに
空は曇っている
僕は現実のドアを
絶妙なタイミングで開け
彼女に挨拶をする
まだ風が冷たいですねと
柔らかく話し掛ける
もうすぐ春が来る
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