宵/高橋正英
 
はるはだと 赤色(せきしょく)は
愛したような西風を
ほむらのようにはんでいた 
 遠くには玄関が

歩きだされた叫びのように
かたむき倒れた墓石のように
日は駆け落ちて 落ちた慕情はやさしくて
 白壁が闇にめとる

目の前を 川は流れ 行く当ては見えず
あなたの指すその先は
 儚くて灯がともる
その
蒼色(そうしょく)の
くらヴぃーあ

のどの奥では ゆっくりと
烟突が
煙を吐いた。



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