四月/
音阿弥花三郎
きみは知っていたはずだ
いつまでも続く四月の午後
ぐっすりと眠り込んだきみの額に
ぼくの夢は文字をつづった
きみは知っていたはずだ
森はとうとつに緑の下着をまとって
ふりむくと花はひらいて
どうして春はぼくを不意打ちする?
きみは知っていたはずだ
いじわるもいたずらもあまく霞んで
空は遠近をうしなってしまったのに
きみは本当に知っていたはずだ
ぼくが知らなかったことと
こどものような春の悪意を
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