あしたへの、かえりみち/たりぽん(大理 奔)
 
真昼の星座のように
記憶の中で物語を紡ぐ
思い出せるだけの登場人物が
いつも同じ台詞
終幕はいつも引かれないまま
あきらめきったような時報で
私の視線は花壇に戻る

鬱金香、まっすぐだね

そこにあるはずの
はくちょう座にむかって
背伸びすると
本当の物語を進む影を踏む

鬱金香、もういいね
僕たちは金魚だったし、星座だった
でももう地上に戻る季節だ
せめて雨の降ったあとには
歩んだ轍に水が残って
青い空を映す鏡になればいい
風が吹いたら、ちらちらと
あかやきいろの君を映して
そうすれば、幸せそうな淋しさで
螢の季節を待てるよ

今度は違う台詞で
傘をまわしながら
螢の季節を



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