病床/ロリータ℃。
明るすぎる午前五時のお部屋の中で
動かない時計が微かに鳴いたような気がした
わたしは声もたてずに泣いていて
壊れた人形のように抱かれてる
時も止まりそうなこの部屋で
身動き一つできないまま
君の鼓動を聞いている
どうしようもないことだよと
君は言った
わたしは信じていない振りをしたけど
きっとそうなのだと知っていた
君の鼓動は確かにここにあるけれど
心の所在がわからないんだ
だって大人になってしまったから
時間を止めてはいけないことも知っているんだ
君の首筋からは
ひどく甘い香りがする
赤い花びらに悪意すら読み取って
わたしは怯え
少し笑った
できることなら
その腕一本でも欲しいと思った
けれど手に入れてしまったら
わたしはその瞬間に
時を止めてしまうだろう
そして人ではなくなって
君のことも忘れてしまうだろう
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