「ひとつ」/長谷川智子
いまあたしは ふたりのおとこをすきでいる
そんなことはありふれたことにすぎないが
あたしには おおきおもすぎてはちきれそうなのだ
まるいゆびのさき おおきくない て
ちいさなかた ほそめのうで
さいぼうたんいで いとおしい
いつかのまどろみのなかで つぶやいた
「きみといっしょならしんでもいい……」
「ばかね」
ということばがみょうにやわっこくてあったかい
いろんなものがこれにあつまってくる そんなかんじ
からみたい からめたい しばられたい それよりもなお しばりたい
いつもそんなことばかりあたまのこえとしてうかんでは きえ
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