松井冬子 賛歌 /いねむり猫
鋭く口を開けた 激しい暴力の傷
穏やかな 美しい死が覗いている 傷口
きれいな肌 シミ一つゆるさない 美しさと健康
暴力と死を恐れる心が隔てていた 広大な世界
あんしんと安全と こころよさ 穏やかな共感
それらが身にまとい付いて もう一つの皮膚のようになってしまった生
それらが私達から隔てていた すぐそこにあるのに 遠く目を塞いでいたもの
すでにそれらを感じ取る触覚を 根源的な感覚を失って久しい
それは 巨大な樹木が空を覆う はるか頭上の緑の天蓋を感じ取る 頭髪の拡散
あるいは 闇の中にさらに奥深い巨大な闇を感じる 内臓の震え
小さな草の花に 自
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