「 今日から強化人間弱化月間。 」/PULL.
 
もぉー、出世できないですよっ。蔦みたいに絡まっちゃってはっきりしないから、だから万年蔦なんて呼ばれてるんですよ。もぉーちょっとはっきりしてくださいよ、もぉーちょっと。」
「ははは、きついね。そうかな。」
「もぉーそうですよ。」
 ウシキドくんは真っ赤な顔をさらに赤くして、なおもしばらく食い下がったが、すぐに酔いつぶれ、カウンターでいびきを立てはじめた。受付のタワミくんが冷血怪人なら、今ここでテーブルに巨大な涎の海を作っているウシキドくんは、牛怪人だ。
 曖昧な表情を外し、わたしは考えていた。ウシキドくんが今言ったことは本心だろうか、ウシギドくんはタワミくんを本当に強化人間だと思っているのだ
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