石畳の光/
灯兎
うな
くすぐったい感覚は消えてくれない
指先が熱を持ち始めて もみ消した煙草
こんな瑣末なことも きっと彼女を苦しめるのだろう
そう きっと 何もかもが
立ち上がった彼女は 小鳥みたいに両腕を広げた
それは 聖者を張り付けた十字架にも似ている
ああ もう 認めざるをえないんだ
ずっと 彼女を求めていたんだって
ずっと 彼女になりたかったんだって
言葉をうまく包みこめないでいるうちに
彼女はこちらに振り向いて さらりと笑った
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