あめあがり/ゆるこ
 
点線に沿った生き方を始めて
今年で二十年になりました
僕は曲がりもせずに、1ミリもずれないで
同じ道を歩いてきました
 
時折吹く
雨の香りの混ざったぬるいぬるい風は
行っては行けない方向に
導くものだと、教えられました
 
 
何度目かの誕生の日に
僕は雨に出会いました
ぶっきらぼうに喋るそいつは
六弦を奏でる指を持っていました
 
それはあまりに刺激的で、
官能的な振動でした
モーツァルトやシューベルトとは
根本的に違う世界が
春の緑のように
深い異臭を放っていました
 
 
そのうち雨は僕を包み
僕のこころを青く染めました
風が作り出す音だ
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