深騒燥想/ゆきのかけら(翡翠)
ずっと思っていた
私は何のために泣いていたのだろう
怖いから?
流れていくと思ったから?
涙はいくら流しても
痕を遺していくというのに…
ずっと刺さっていた
私は誰を思って泣いていたのだろう
消えゆく人々?
それとも私自身?
ひたすら泣きじゃくった
何も変わらないというのに…
胸の痛みは判るのに
どうして貴方の言葉を留める?
染み込む傷口幾つもあるのに
どうして許しを受け入れられない?
乞うているのに
乞うているのに
どうして自ら涙で塞ぐの?
いつの間にか降る白さに
独り耐えられる訳もないのに
諦念を揺らす私の瞳が謳
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