ふりふりなひと/恋月 ぴの
 
ゴスロリっていうのかな
そんなフリルのたくさん付いた服
一度くらい着てみたいけど
「おばさんの癖して…」
あなたに言わてしまいそうだし
そんなの着れる歳じゃないことぐらい判っている

ふりふりのお洋服
着れないかわりにいろんなふりをしているよ

おとなしいふり
協調性のあるふり
つつましやかなふり
それから
あなたを立てる賢いおんなのふり

もしかすると、死んだのに生きてるふりしていたりして

ちょこんと乗せたヘッドドレス
球体関節人形の瞳みたいに
果てしなく澄んでいて
血に餓えた花束の匂いがする

ほんとのわたしって誰なんだろうね
どこの誰だろうと構わないけど

ふりふりのふりふりは
ふりふりで
ふりふりのふりふりは
ふりふりだから

自分探しの旅をする気なんて
はなから持ち合わせているはずもなく
わたしって存在のふりをして生きる



戻る   Point(31)