「 手眼。 」/
PULL.
って伸びていった。
ようやく鍵穴に辿り着き指を入れる。鍵穴は、薬指にぴったりで指を捻ると、五つに裂けて開いた。開いた向こうでは眼が待っていてこちらを見ていた、見ていた、見ていた、眼が、あまりにぎろぎろと大きくこちらを見るものでわたしは不安になり、手で、眼を鷲掴みにした。手の中の眼はしばらくぐるぐると眼を回し暴れたが、やがて大人しくなり、ぱちんっと音を立てて弾けた。開くと眼は跡形もなく、手が、こちらを見上げていた。
了。
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