「 手眼。 」/PULL.
使わなくなった手をひとつひとつ外し、引き出しまで引きずりしまい込む。十本目の手は十段目に、五本目の手は五段目に、解りやすいようにしまい込む。手はどれも握り締められていて手のうちは見えないのでそれが何本目なのか外からは解りづらく、またいらない手は想う以上にたくさんあり、その上どれも大きさがまちまちなので、これがなかなかに手間が掛かる。ようようすべてをしまい終わり、最後の引き出しを閉めようとするとその、手が、握り締めていた手をやわらかく開き、こちらを見た。
きつく手を閉じて見ないようにして、引き出しをかたく閉める、開いた手が這い出してまた戻ってこないように、きつく
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