詩人のシノギ(訳詩集「於母影」の巻)/みつべえ
國學院大學学長をつとめた。
★やっぱり「学校の先生」である。
井上通泰(1866〜1941)は、姫路市の松岡家の三男として生まれ、12歳で井上家の養子となる。東京帝国大学で医学を学び、眼科医を生業とする。引退後に万葉集や風土記の研究に専念し、歌人、国文学者として業績をのこした。民俗学者の柳田國男は実弟である。
★「目医者さん」
小金井喜美(1859〜1944)は、帝国大学医学部教授の小金井良精の妻。森鴎外の妹にして随筆家、歌人。その娘婿の星一(ほし はじめ)は星製薬の創業者で、その息子、SF作家の星新一は孫にあたる。
★彼女は「大学教授夫人」
※
なんだか「学校の先生」と「お医者さん」ばかりだ。「新体詩抄」の3人は東京大学という同じ職場の仲間だし、「於母影」も内輪の集まりにすぎない。このような小サロン的な、詩の愛好者のグループが、全国にいくつもあったのだろう。
その昔、日本の国にまだ詩壇というものが形成されていなかった頃の話である。
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