禁/
城之崎二手次郎
その日本人形は昔から家にある。しかし、それで遊んだ記憶はない。母親になった私は、時おり娘を連れて、母がひとりで暮らす実家へ行く。そのたびに娘はその人形を持って帰りたいという。娘には甘い母だったが、それだけは許さなかった。ある夜、実家から戻った娘のカバンにその人形を見つけた。そして思い出した。幼い頃、家から持ち出してはいけないといわれていたあの人形を、つい持ち出してしまった。その日、父が死んだ。
あとがき。
二〇〇字物語第三十四弾。
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