「ウミサソリ(Eurypterus)」/ベンジャミン
 
古生代、シルル期の海に
かつて繁栄した太古の生物
生きた化石と呼ばれるカブトガニと同じ
三葉虫から進化したアグラスピスを先祖にもつ

広翼網の特徴である外殻は「天使の翼」と称され
四角い頭と、両腕には大きなハサミをもつ

彼らはやがて陸へ上がり
海に残ったものは化石に姿をかえ
生きたものの姿を見ることはできない

ところで

人の祖先もたどれば海へつながるという
いや、すべての生き物がそうなのだという

海を離れ陸に上がった生き物は
自らの生きる場所を選択することで
あるものは順応し、あるものは淘汰された

そして今
人は宇宙へ近づいている

見上げた星を結んだときに描かれる星座
その中にあるさそり座は
太古の姿をやきつけたまま空に寝そべり
僕たちを見下ろしている

かつて繁栄した巨大な海の生物
その見たこともない姿を思い浮かべるとき

僕はなぜか
海を懐かしく思う
    
    
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