慟哭の雨/灯兎
心の隙間に風が吹きこんで あなたをさらっていく
そうして僕はまた 靴紐の結び目を固めて
ドアを開けて 外に出て行くしかなくなった
重く気だるく降り注ぐ 慟哭の雨に 縫い付けられた
焼身自殺者の瞳のように 赤々と開かれた空
桜の葬式に参列しているみたいで 足取りが弾む
葬式と言えば 雪の葬式には出ていないのだけれど
そもそも知らせすらなかったことを 思い出して
また一つ 風が 僕の結び目を解いていく
僕の葬式は どんなふうになるんだろう
骨を埋める場所も スーツも 写真立ても
ぜんぶ灰にしてくれたらいいのに
灰は風に乗って あなたのもとに届いて
泪と雨を
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