われに五月を/大覚アキラ
風が光っている
それを
瞼の裏で感じて
われに五月を
犯罪的なほどに
短いスカートをはいた
女子高生の耳元で
一編の詩を
ささやいてみたい
気が合えば
ふたりで手を繋いで
モノレールに乗って
いっしょに海を
見に行ったりしてみたい
そしてふたり
世界中から
仲間はずれにされて
暇つぶしに一週間ほど
泣き続けてみたい
泣き腫らした顔を見て
互いに笑いあったら
砂浜に寝転がって
風が光っているのを
瞼の裏で感じてみたい
われに五月を
許されることもなく
認められることもなく
裁かれることもなく
救われることもなく
光る風の中で磨り減っていく
そんな
命の捨て方が似合う
五月
[グループ]
戻る 編 削 Point(11)