きみの一日を 僕は知らない/もも うさぎ
 
のぬいぐるみの良さも

きみが大成功したという仕事の時の表情も
きみが家族と電話で話すときの 声の調子も

僕は知らない



きみが笑っているのか 僕は知らない
きみが泣いているのか 僕は知らない


僕は知らない

きみの一日を 僕は知らない


いつもと変わらない きみの出迎えと
いつもと変わらない 夕食の匂い
疲れたでしょう、とそっと抱きしめてくれるその体が

一日のうちに何を背負い、何を赦し、何を愛したのか
僕は知らない


きみの一日を 僕は知らない



それでも必ず ここに帰ってきてほしい、と
僕は願う
この場所で いつまでも眠ってほしい と



僕は それだけでいい









〜きみの一日を 僕は知らない〜

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