素描/もも うさぎ
 
   
ケンタウルスの夜に


ケンタウルスの夜に
星屑を降らせよ

砂糖菓子のように甘くかたまって
壮大な橋をつくれ

研ぎ澄まされた露を舐めて
硝子の角を指先に絡ませて


ケンタウルスの夜に

星屑を降らせよ















あなたの声は遠い
受話器を強く耳に押し当てて
つぶれたピアスがとても痛い

それでもあたしは
そのひとつひとつの吐息の音だけを頼りに
星明りの下の砂漠に
光る一筋の砂の上をさまよいゆくように









 「素描」




今度の素描は自信が
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