君の声が聞きたい/松本 卓也
 
他愛の無い言葉に紛れた
温もりに微かでも触れたくて
いつもよりおどけながら
どうでも良い話題を振ってみた

事情も聞かずに笑う声が
わざとらしく作られた優しさよりも
草臥れた心根に染みていくのを
知ってくれているのだろうか

小分けに降り続いていた雨を受け
泥に塗れた花びらが轍を埋め
季節が一つ過ぎようとしている

ふざけ気分のままでいたなら
またもや意味無く季節を越えて
来年の今頃ようやく気付いては
いつもの様に忘れたふりで

奔放に投げかけられた言葉に
少しずつでも刻まれていたい
変わらないだけが日常じゃないと
思い知らせて欲しいから

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