はじまりの はじまりの/木立 悟
 




黒と緑
ひともとの曇
月のきざはし
忘れられても うたいつづけて



笑顔に割れた夜の下で
いたたまれずに背を向けて
ふせ目がちに風を見る花
光のなかのまばらな道


じっとしていた滴がふるえ
金や緑をつぶやいて
言葉から離れる時間を描く
指を となりの指に乗せる


はち はち
手のひらをなぞる声
沈む言葉の
はやさ ふかさ


土の下のもうひとつの土
手のひらのまわりの手のひらから
はがれてははぐれ ほぐれゆく波
色や光のあつまりの音


片方の目にだけ見える小雨が
ずっとずっと降りつづいている
もう片方の閉じた目のなか
金と緑と 牙のたましい


はじまりのはじまりの
手のひらから流れる水を
光のまわりの異なる光を
声の足跡はめぐりつづける















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