赤いワルツ/aidanico
 
ていた!/自負心のつよい私は侮辱を感じテキーラだとかウォッカだとかジンだとかありとあらゆる酒を/男たちの顔面に浴びせた/その強い酒たちはは紛れも泣く私の涙だった/ショパンの仔犬はいつか感傷的なラヴェルに変わって私の心臓のない胸を強く打った/燃え上がった情熱は凍った海に投げ出されて/波打ち際へと打ち上げられた/私の纏った襤褸は/まさしくジプシーたる私自身に相応しかった/私の盗んだ真っ赤な狂騒のあの晩の風景は/幻想の中へと葬られる/

いつかの男は/海岸で蹲る私に言う/賑やかなファランドールが流れるなかで/
「つめたい冬が凍て付く海を解かし/穏やかな春が来ても/
“あなたは其処にある”(be there)」と!
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