あなたが恋をしているあいだ/望月 ゆき
四角い出窓にひじをついて
わたしは お空をみてました
ときどき 桃色の雪が
紛れこんではちらついたりして
世界は彩られたりしましたが
わたしは お空をみてました
ひじをついたまま
そのうち 水しぶきがいく粒か
窓の外にはりついて
東の彼方の海の真ん中で
魚が跳ねたのだろうなと思いましたが
わたしは お空をみてました
ひじはついたまま
こんこんと小さく赤い手のひらが
ガラスをノックします
返事をしようと窓を開けましたが
落ちた手のひらは
カサカサと重なってわたしを見上げておりました
それでわたしはまたお空をみてました
ひじをまたつきなおして
だ
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