岸辺/ダーザイン
その娘は頬を赤らめることができる
ただそれだけのわけで
マートのレジを叩く少女を愛おしく思った
何故人は人を求めるのかね
一人ではないという幻想
届くことのないテレパシー
真空の宙空に架かる一本の虹が
私の思念を超えて
何者かの立つ岸辺へと
導くだろうという祈り
街灯から街灯へ
長い坂道を登っていくと
寄り添っていたふたつの影は
もうどこにもなくて
昨日とひとしく空ろな夜半
銭湯帰りの冷えたビールの泡と共に
日々を持ち堪えさせてくれるのは
誰に読まれることもない
一編のつたない詩だったりするのです
一服の紫煙と酔いが
昨日のごとき幻影を加速させる時
無が
光り輝く面をのぞかせる
#古い詩です
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