青い花/ダーザイン
 

ふいごをあてた燠火のようにほの暗く明るんで
灰の灰
塵の塵
少女の口がかすかに開き
Aのかたちに開く
基準音A:四百四十ヘルツで
またひとつビルが倒壊する
どのような秩序のための調律なのだ

一瞬少女はふりかえり
わたしの目をまじまじと見つめた
彼女の髪にさしのべた手は空をつかみ
ちりりと音を立ててホログラムは消える
ゲームの規則だ
水路にこだまする声

残像は消える
消える
消える

幾層もの気圏を立ち上り
幾層もの気圏を結晶させて
ふりかえる窓辺にはひとつの灯火もなく
廃都はどんどん小さくなっていくのだった

まだ空が青かったころ
風使
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