さいごのしじん/ゆるこ
 
のは青白い君だけだ
笑わないのは円を描いた土だけだ
 
波間に浮き沈みする赤ん坊が
泣いてる幻聴は、消えた今も続いてると
 
 
 
琥珀のようにこの世界が固まれば
私はこうやって歌うこともなく
ただ淡々とビルから飛び下りる
一つの固まりになっていたのか
 
 
誰も現像できないフィルムに
何度も最後を焼き付ける
 
真実はこの世界だ
 
 
 
波の音が、覆い被さる
 
 
 
レンズ越しの世界が、今日一番の鮮やかさをみせた、
 
午前三時。
 

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