さいごのしじん/ゆるこ
 
 
悶々とした舐めるような空気の中
うっすらと汗をかき、ほてった頬を林檎にした
 
空白に紫煙を撒き散らし
群青色に染まった人々が次々と電車に飛び込んでいく最後の日
 
盲目の少女が一羽の鳩の首をしめた
 
 
赤い放物線が
雨上がりのような爽やかさの中飛び交う
鳥か、人か。
分からぬまま。
 
 
 
五百万画素の鋭利な映像が
目の前を何度も何度も遮り
なんとなくカレーを食べたくなったのは
ここが池袋だからかもしれない
 
 
こんな美しい最後の日に
私の下は血を吐いて
当たり前の自然の摂理が
やけにリアルで泣けてきた
 
 
揺れるのは
[次のページ]
戻る   Point(5)