アリア? グールドの指先/フクスケ
 
コトバがあふれる
グールドの鼻唄まじりの
バッハの平均律を聴くたびに
コトバの「意味」の間に
虚しい風が吹き抜ける
遂にそのものであり得ないことを
思い知らされる時
あふれ続ける
コトバの屍たちは
彼岸に到らず
枯葉のように 地に舞う
彼の指先が
コトバを奪う
奪われたコトバに
戸惑いながら
止めようのない
何かが あふれる
鳴り続ける アリア…
また 行き場のないコトバが
僕の掌から
とめどなくあふれる

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