駅・橿原/たりぽん(大理 奔)
二十代の頃。駅を出てパチンコ屋の横をすり抜け、剣池へと続く緩い坂道の途中の小さな倉庫で働いていました。昼はお皿だけおしゃれなお好み焼き屋とか、ちっぽけな食品スーパーのお総菜とか。定期券を使って駅の中にあるハンバーガー屋で食事をすることもありました。もう授業が始まってる時間だというのに、制服姿の学生が楽しそうでも寂しそうでもなくシェイクを飲んでいたりして。
ある時、超古代史オタクっぽい旅行者に話しかけられたことがありました。蒸し暑い日だったから、きっと夏休みの真っ最中だったと思います。二人とも眼鏡をかけていて、とてもおしゃれに興味があるとは思えないファッション。でも何となくかわいい感じがする女
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