けれどももしかしたら砂浜のことを忘れているのかもしれない/ホロウ・シカエルボク
 

足元の砂のことは気にしないで、ゆっくりと時間をかけてここへ来て、まるでふたりのあいだにとてつもなく手強いドラゴンがいるみたいなシチュエーションで、この短い距離をあたたかな緊張で満たして欲しい、時刻は夕暮れ、雨の予報のせいなのか、釈然としない空模様で…語り合うにはいまひとつの灰色だけれど
足元の砂のことは気にしないで、どこか他のところから降ってきたのに違いないから―だって今日は砂浜のほうには出かけていないもの、そんなものが靴下に混ざったりすることなんてありえない、ゆるやかな態度がすべてをニュートラルに戻せることをどうか忘れないで
音楽は流れ続けているけど、何を歌っているかなんて気にしたりして
[次のページ]
戻る   Point(1)