あやめたひとあめにさらされ/ゆきのかけら(翡翠)
 
更に奥深くに

吹き返そうと

強要る種が

下に延びて

散り逝く

それが私のもつ

花壇だったから

水を撒けば済むの

逆流する雨が

まるで

不快な音楽みたいに

ピリピリと

耳を侵蝕して

跳ねて

命の首を

刎ねる

いつかは

合わさる事を

赦されて

上に延び往く

唯一の蔦を

身体の芯へと

搦めあえるよう

願いながら



懇願し

体内へと飲込んだ

宇宙(そら)の種は

私では芽吹かない

私だけでは…

愛しさを

作り上げたって

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