落花から葉桜へ/山桜
無心の空に 雲がとおくまでたなびいていた
いちばんの孤独を慰めてくれたのは君だった
きみが口ずさんでいた はかない歌
橘の花に夕立が降っていました
蜜柑色のとっぷりしたくうきのもとで
わたしは
きみの愛した歌を 口ずさみました
ずっと きみの身代わりを探していたかと気づけば
わたしはほんとうにかなしくなる
恋の相手求めています
あなたの面影求めています
きみの淹れてくれたホットドリンクは
こころに 沁みました
葉桜は いいにおいがするものだと
きみが 教えてくれました
どうか もういちど 逢いにきてほしいと
思うのだけれど
そんな想いで木の枝から散りゆく桜を
雪のうつくしい、と
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