祈りは星に/Utakata
遠くの暗闇の中で誰かが泣いているのが聞こえる
もう少しだけ
お話を続けてくれませんか
(物語はいつだって
正しいような言葉で始まり
いつだって間違った言葉で終わる)
柔らかな結末を語れると思っていた
(かたくなに握り締めた口を噤む)
無人の銀河ステーション
剥げ落ちたペンキ
まもなく電車がまいります
到着場所は
たぶん何百光年か先の辺り
光の速さなんて
本当は大したことないのですよ
(そう言われても
嘘を吐き続けるくらいのことしかできない)
宇宙のどこかで
誰かが泣いているのが聞こえる
(もう少しだけ
祈りを続けていてくれませんか)
電車がとうとう動き出す
窓ガラス越しに眺めながら
口を軽く開き
間違った言葉で物語の最後の言葉を呟く
8.“「 」”
誰もがみんな星の子供なんだと
誰かが言った
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