祈りは星に/Utakata
この星を好きになれると思っていた
――ねえ
――聞こえてる?
朝が来るたび
一回分の自転周期と
365分の一の公転周期をあわせた距離を
地軸の震えを
銀河の流れを
宇宙の中で旅しているっていうのに
どこにもたどり着けないなんていうのは
重力なんていうくそったれなもののせいだ
――うん
返事をする時間のあいだに
既にその位置から自転しているので もうそこにはいない
――あの
――なに?
近づいているのはどっちで 遠ざかっているのはどっちだ
――気をつけて
――うん
大丈夫
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