祈りは星に/Utakata
 


  この星を好きになれると思っていた

――ねえ
――聞こえてる?

  朝が来るたび
  一回分の自転周期と
  365分の一の公転周期をあわせた距離を
  地軸の震えを
  銀河の流れを
  宇宙の中で旅しているっていうのに
  どこにもたどり着けないなんていうのは
  重力なんていうくそったれなもののせいだ

――うん

  返事をする時間のあいだに
  既にその位置から自転しているので もうそこにはいない

――あの
――なに?

  近づいているのはどっちで 遠ざかっているのはどっちだ

――気をつけて
――うん

  大丈夫 
[次のページ]
戻る   Point(2)