どこかの折り目を/霜天
深緑の
深くなる光を
鉄筋コンクリートの箱の中から
眺めています
時計の針は
ここを刻むと
それ以上は動かなくなるのです
取り残されるように
私と空間は
どこか
こころというのですか
折りたたむように
静まっていくのです
窓枠で切り取られた緑は
深く 深く
強い光になって
ふと
時計は刻むことを思い出し
ちくちくと針は
私と空間を
縫い合わせて
どこかの折り目を
こころというのですか
残されたしわを
指先でなぞりながら
深くなる緑の光を
静けさと
鉄筋コンクリートの箱の中から
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