リクルートスーツ/ゆるこ
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おとこのこの亡骸は
触覚をもぎつつ、涙をながす
世界中の蟻達の血肉となり
わたしはその蟻達を
一匹ずつ、殺していった
せかいじゅうが影になった
ものさしはわたしだけにある
それはそれはかなしく
それはそれは馬鹿みたいで
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目が覚めると
空は面白いほどましろで
魔女が生まれた朝みたいに
神聖な暖色を帯びていた
その空気の中
いっしゅんをなんども数えつつ
足の裏の堅い感触に安堵し
ようやく着けてた耳をもいだ
(ことばをおぼえたわたしたちは)
(ようやくおもたいこしをうかし)
さいごだと 呟いて
淀川に、飛び込んだ
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