リクルートスーツ/ゆるこ
 


緑色の体をした
体格のいいおとこのこが
通天閣のまんまえで
しんでしまった

からすは
そう、とだけ頷いて
仕事場である住宅街に
早々に飛んでいってしまった

鋭い瞳は
鈍角に佇んでいるわたしを
なんどもとらえては
ひらがなを、奪う

それは
廃墟横にある自動販売機みたいに
酷くクリアな光を帯びては
点滅するように放物線を放って、


(体感速度が、)

切れてゆく感覚

それは 斬新な残像
それは 鮮やかな緑


肉片みたいな春に
わたしはまさに
溶けてしまおうと、する
ぼやけようと、瞼を閉じた




ーーーー
[次のページ]
戻る   Point(3)