忘れていくための、/
山中 烏流
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ぼんやりと
消えるような声で
呟く度
私は
自分の名前を
忘れていくのだろう
日だまりや
木漏れ日から響く、音色
それらが
私の鼓膜から
心臓に伝っていき
溶けてしまう毎に
私は
たくさんのことを
忘れていくのだろう
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そういえば
綺麗だと笑む
この
唇を持つひとの名前を
私は何故
呼べないのだろう、か。
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