焦土金緑/木立 悟
無数のまぼろしたち
紙を折り 飛ばし
しずく集め 飲み干す
無数のまぼろしたち
すれちがい かがやき
過ぎ去りつづける
追うものなく 請うものなく
海風は強く午後を分ける
とどろきのなかの哭き声
そら灯すつらなり
何も無い場所に生まれたものと
どこかを追いやられたものとが渦まく
既に切り離されたものを切り離そうと
巨きな巨きな刃が振られる
無数のまぼろしたち
手をほどき分かれる
流れ流され
向こう岸も知らずに
無数のまぼろしたち
溺れ沈むかけらの
かがやきに刺され覆われるまま
失くすことと同じ意味の
永い道
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