名前をください/アルビノ
気付けばなんにもない季節でした
冬の次は春であると教えられていたが
ごらんよ、
ここにはなにもない
雪景色と花の息吹の隙間
ぽかりとあいた時間
ごらんよ、
名前なんてないのさ
吹く風は次に訪れる季節のもので
ぼくらは何度も予感を巡らす
4つのループから足を踏み外しそうになった頃に
いつもかならずはじまる春
つまらない、とぼやいて舌打ちさ
それはさみしい、によく似てる
うたた寝をしましょう
訪れた季節に名前があるように
ぼくにも名前をくださいな
まどろみ 春風 ねこやなぎ
目が合ったなら、ぼくにも名前をくださいな
目が覚めたとき、枕元に名前をくださいな
いつも置いてきぼりの幼子だ
春のはじまり、
名前をくださいな
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