追憶/
望月 ゆき
うたた寝から覚めると
下校時刻のチャイム
開け放った窓から
笹の葉が
通りの向こうを
はしゃぎながら遠ざかる
金銀砂子
はるか頭上を
セスナが横切った
ような気がして
空を見上げる
あの日
短冊にしたためた言葉さえ
思い出せないまま
今日もまた
地球のどこか
赤い土の上で
こどもたちは七夕を知らない
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