二度と羽ばたけない羽なら捨てることもまた飛ぶことだ/ホロウ・シカエルボク
遠雷の様な耳鳴りを含ませた渦巻き管があらゆる配列を狂わせる
小鳥の死体がうずたかく積もった廃墟ホテルの階段の見てしまう美
壊れたものはなんだった、コードの切れた黒電話の受話器を耳に当てたら
忘れられたものたちの慟哭が囁きの様に聞こえた、薄い刻印を指でなぞり続けてるみたいな時間
不思議なくらい長い冬だったね、何に凍えているのかも判らないまま
浮浪者たちがのたれ死ぬスプリング・セールさなかの商店街
汚れたコートのすそを丸っこい子犬が鼻先で突っつく
詩について語りすぎる詩人には短い詩しか書けない
(そこにいれば安全だ、はみ出すことさえしなければ、どんな世界に居たって大切なのは節度
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