膨らむ図書館/ケンディ
僕は、図書館で迷子になってしまった。
僕の興味ある本棚の周りには、誰もいない。
人がいないと自動で灯りが消えてしまうので、周りは真っ暗だ。
このエリアには、マニアックな本ばかりが置いてある。
僕もあえて、誰も読みそうもない類のエリアに来てみた。
そうしたら、こんなことになってしまった。しかし静かで、
薄暗くて、膨大な本に囲まれていて、時間は止まっている。
パウルゼンという人の書いた黄ばんだ本があった。
開いてみると、紙は赤茶けて、旧字体でたいへん読みづらい。
どうもドイツの哲学者・教育学者らしいということだけは分かった。
僕は本の草むらに、夢中で分け入ってしまった。
図書
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